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最高裁判所第二小法廷 昭和45年(オ)142号 判決 1970年10月09日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人眞野毅の上告理由について。

所論は、帰するところ、原審のした次の判断、すなわち、(1)農地法二一条、二二条、二三条をもつて、小作料について現物納、代金納制を禁止し、定額金納制一本に法定し、その額を所定の基準に基づいて統制することを定めた規定であり、これらの規定をもつて、単に小作料の物納を排し、あるいは代金納の場合の換算率を統制したものと解すべきではないとした判断、(2)法律によつて小作料の額を統制することが憲法二九条一項に違反するものではないとした判断、(3)農地法二一条に基づき定められた農地法施行規則一四条ノ二の小作料の最高額の基準額が憲法二九条一項に違反するものではないとした判断について、農地法二一条、二二条、二三条ならびに憲法二九条の解釈の誤りを主張するものである。しかし、右農地法条の解釈について原審のした判断は、当裁判所も正当としてこれを肯認することができ、また、小作料の最高額を法定した農地法二一条、二二条の規定ならびに農地法施行規則一四条ノ二の規定に基づく小作料の最高額の基準額の定めが憲法二九条に違反するものとはいえないことは、最高裁判所昭和二五年(オ)第九八号、同二八年一二月二三日大法廷判決、民集七巻一三号一五二三頁、同昭和四〇年(オ)第四〇四号、同四三年四月二三日第三小法廷判決、民集二二巻四号一〇〇八頁の趣旨に照らして明らかであるから、この点に関する原審の判断も正当である。要するに、原判決にはなんら所論のような違法はないのであつて、論旨はすべて理由がない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一)

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